両国眼科見学報告
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両国眼科の見学報告

平成11年1月29日に両国眼科の見学に行ってきました。目的はPOM(point of medicatio)の見学です。昨年秋から、リソース消費の平均化、それによる患者さんの待ち時間縮小、積極的な患者さん管理が私のテーマになっております。POMがこの私のテーマにぴったり合うシステムのように思えたので見学にいきました。
小生の見学を快諾していただいた石岡院長、システムを開発された、楊社長(眼科医でメディカルデータリサーチというベンチャー企業の社長)、安部社長(医者で学生の頃からコンピューター関係のベンチャー企業イイガの社長)のご厚意に感謝いたします。
内容については、不正確な点が多々あるかと思います。


1 POMの概念。
POS(point of sales)が売り上げた時点で、何がどれだけ売れたのかを把握し、それを次の戦略に利用するシステムであれば、POMは診療した段階で、患者さんにかかる検査費用、薬剤費用、トータルの支払い金額、来院してからの時間、患者さんの診療にかかる滞在時間が把握できるシステムです。当然平均待ち時間も時間ごとにグラフ化できますし、リソース消費の偏りが簡単に把握できます。


2 診療支援システム
病気を診断したときに、その病名でやらなければならない検査項目、投与すべき薬剤が提示されます。前提として医者は必ず間違えるという考えでシステムが作られており、アレルギーの欄に禁止薬剤として登録されていれば、その薬が使用できなくなっています。もちろん、同時に使用することのできない薬剤に関しても、チェック機能が働きます。


3 実動している状態での操作性、いかに高速で、簡単に使えるか。
特別の情報の入力以外キーボードの操作はなく、後はマウスの操作のみですべて操作可能です。操作自体は単純、明快でした。受け付けた時点で、患者の名前はネットワーク上の各コンピューターの待ち患者リストに載るので、医師、検査員がIDを入力することはありません。待ち患者さんの来院してからの待ち時間、病名などがリスト上で確認できますから、たとえば、結膜炎などの感染症の患者さんの、院内滞在時間をできるだけ短くすることもできますし、患者さんの待ち時間を意識した治療が可能になります。診療所のリソースを消費する視野検査、眼鏡処方などを、次の診療日に振り分けるとか、案配に利用できる情報が得られるということです。たとえば、患者さんの待ち時間をできるだけ30分以内にすると決めておき、それを上回るようであれば、検査の数を減らすというようなものです。


4患者さんの診療所滞在時間
再来患者さんで、最短8分とのことでした。受付して、診療し、診療中に検査項目の入力、薬剤の入力が終了しており、帰り受付に来たときにはすでに、診療費の計算が終わっているということになっていました。診療が終了してからの待ち時間が短くできる点魅力的でした。


5企業戦略上の利用価値。

何日の何時の待ち時間が何分、というように、患者さんにとって負担の多い時間帯、負担の少ない時間帯が把握でき、時間のかかる検査の予約をどこに入れればいいかなど、感覚ではなく、事実を元に計画が立てられる。両国眼科では10人の医師がグループで診療していますが、誰がいくらの収入を上げたかが把握でき、それを根拠にした給与計算が可能とのことでした。当然のこととして、よく仕事をしたものが、働いただけよけいに給与を支給されるというシステムです。これを検査員レベルに使えば従業員管理上有効と思われます。患者さんの在院時間も簡単に把握できるため、平均在院時間を5分短くするように努力するとか、努力目標を立てることができ、またその結果をフィードバックすることもできます。従業員管理上非常に有用なシステムと思われます。データベースを有効に使えば、緑内障患者さんなど継続的に診療していかなければならない患者さんの受診状態が把握でき、不幸なドロップアウトをinactiveの段階でリコールをかけることにより、防ぐことができます。

6 データ保管の安全度、容易性、security面の安全性など、記録情報の保管管理安全性に対する配慮。
すべてのサーバー、クライアントに無停電電源が付けてあること。
一週間ごとにバックアップテープが時系列で保存されていること。
バックアップに関しては、テープさえ入れ替えておけば夜間の時間指定自動バックアップが設定されており、容易にバックアップできること。
入力されたデータに関して、消去、加工できるクライアントが特定されており、一旦入力されたデータの消去が容易にできない設定になっている。
より高いsecurityのため、階層によりパスワードによる鍵の設定がされていた。NTサーバーが2台ミラーリングされており、しかもOracle8 workgroup Server R.8.0.5がデータベースとして使われているため、データ保管の安全度は高いと思われた。データの時系列での安全、業務中のデータの安全の両面で高レベルの安全が提供されていた。


7 このシステムがどの程度実際に使用されているか。
画像は、ディスプレーに表示されるのみで、医師が直接画像の用紙を見ることはありません。医師が画像を見ようとすれば、患者さんにも見ることができる形で画面上に表示されます。紙の病歴には、検査項目、処方などの記載はありません。必要であれば、プリントアウトしたものを張り付ける形になります。ほとんどの記載はコンピューターにマウスで入力され、特別の記載だけ紙の病歴に記載しているようです。


8   このシステムを使用するにあたってどの程度の訓練が必要か。
システムが機能して2ヶ月で医院にお邪魔したのですが、システムは十分稼動していたという感じでした。システムが稼働しなければ仕事ができないのですから、これは当然というべきかもしれません。

9 画像ファイリングシステム
一月末の時点ではこのシステムに統合された画像ファイリングシステムは稼働していませんでした。画像ファイリングシステムはサンコンのものがかりに動いていましたが、2月中にはこのシステムに統合された画像ファイリングシステムが稼働するとのことでした。

10 システム高速化に関わる要素の一部
Oracle8 Workgroup Server R.8.0.5, 100base Tx, Switching Hub, jpeg 圧縮画像などがあげられると思います。